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アニメや本についての雑記です。オタクが書いてます。

サクラクエストにみる「方言お姉さんキャラ」の趨勢

 

 

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漫画やアニメにおける人物の描かれ方はしばしば記号的だったり類型的だったりします。例えば「無口でミステリアスな美少女キャラ」とか「ツンデレお嬢様キャラ」とか、ぱっと固有名のキャラが思い浮かぶ人も多いんじゃないでしょうか。これらの組み合わせがアニメファンにとって馴染み深い感じがするのは、漫画や萌えアニメの一時代の基底になるくらいまで流行ったパターンであるからだといえると思います。

 

今日書いてみたいのは、そういう類型の一つ「方言お姉さんキャラ」についてです。

 

最近この「方言お姉さんキャラ」が密かに流行りつつあるんじゃないか、とふと思いつきました。具体例としてまずあげたいのが、「サクラクエスト」に出てくる「四ノ宮しおり」というキャラクターです。

 

「四ノ宮しおり」は作中で「田舎」である地元に愛着を持つ「母性的」なキャラクターとして描かれています。彼女のくちぐせは「だんないよ」で、これは心配ないよ、大丈夫だよ、という意味の富山弁の方言です。作中の人物が失敗したり落ちこんだりするたびに、彼女は「だんないよ」と優しく励まします。

 

この「田舎」「母性的」「キャッチーなくちぐせ」という属性を持つ「方言お姉さんキャラ」と呼べるような様式ですが、実は他作品のキャラにおいても登場します。それが「なんくる姉さん」です。

 

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なんくる姉さん」は現在ヤンマガで連載中のラブコメものの漫画です。作中でヒロインの「姉さん」は「南国」風のちょっと不思議な美少女として描かれ、極度の気にしいである主人公が何かに思い悩むたびに、「なんくるないさー」と主人公を励まします。この「南国」「姉さん」「なんくるないさー」という属性は、「田舎」「母性的」「だんないよ」という四ノ宮しおりの持つ属性にほぼ正確に対応するのではないでしょうか。

 

ここでの「田舎」は、回帰すべき場所としての「母」そして「自然」の象徴としてあると思います。だから、これらの要素は「母性的」であるということにまとめられると思います。

 

「母性」への執着がサブカルチャーを通底する主題の一つとして元々あったのは間違いないです。母子間の濃密な情緒の中に失われた安息の楽園の幻影を見ようとする欲望は、きっと昔からあったものだと思われます。ただ、以前にもまして「母性」が表に、より直接的に描かれるようになったという印象が強くあります。それに呼応してか、キャラへの愛着を示す言葉は、かつての「俺の嫁」から「バブみ」へといつの間にか変化してしまいました……。

 

なので「方言お姉さんキャラ」、今後も出てくるのではないでしょうか。何かあった時に「せわーねー」と励ましてくれるせわーねーさん(岡山)とか、「あんじゃーねー」と励ましてくれるあんじゃーねーさん(群馬)とか。ちょっと見てみたいです。